なんと言っても「エチカ」

えぇー、この5年間、どんな機におよんでも絶えず読み続けているのがスピノザの「エチカ」です。

東洋人である我々は、東洋的文化、諸宗教の無意識の海にどっぷり浸かっているので、17世紀のオランダ人が書いたものに縋っても無駄、という前提を軽く粉々にできる力能を有しているのは「エチカ」ぐらい。

よく、滅入っているヒトがニーチェに誘われるものですが、あれはカトリックを中心としたドイツ語圏の人間を対象として書かれているので、日本人がアドレナリンを出して勇気を高めるためにニーチェを読む、ってのは彼が嫌った盲目的な信仰に従属するのと本質的には同類です。

んじゃー、スピノザだったらエエのか、と言うと今はエエ。どんな思想も賞味期間があり、13世紀から17世紀はトマス・アクィナスの「神学大全」が中世から科学技術の世代までを賞味し、中華帝国が世界を再統一する残りの期間に残留し、後世に於いても「神学大全」と同義の人類の道具としてアーガイプされるのは「エチカ」。