「七つの夜」 J・L・ボルヘス

ホルヘ・ルイス・ボルヘス、作家名を知っているか知らないかで、かくも<大衆>と<好奇心をもつ人間>を分かつ目安のトップに現在位置するのがボルヘスちゃいますかな、、、

もちろん、この場合の大衆とは(僕が)ケチョンケチョンに扱っているヒトたちです。

逆に幸運をつかむ、つかめるヒトは群れを嫌い、野心と憩いの間に好奇心を月夜に引っ掛けられるヒトたちです。

「千一夜物語」アラビアンナイトですが、ボルヘスに説明させると、あっというまに魔法を堪能できます。

「千」という言葉は私たちにとって「無数」のほぼ同意語に等しく、千夜というのは無数の夜、数多の夜、数えきれない夜と言うのと同じです。

「千一夜」とは無数に一を加えることです。英語の表現で「永遠に」をfor ever と言うかわりに、ときにfor ever a day と言うことがあります。「永遠」という言葉に一日を加えるのです。

このことは、「きみを永遠に、さらにその後も僕は愛するだろう」という、ハイネがある女性に捧げたエピグラムを想いださせます。

「七つの夜」J・L・ボルヘス

ボルヘスは博学で世界をうならせます。

大衆など眼中におかない、もちろんボルヘスが盲目の文学者と知らないヒトたちに、ボルヘスは「千夜」の長さなど伝えるつもりは全くありません。

絶望をどれだけの才能がこうも削り落せるのか、敬意にひれ伏したくなる人類の星。